REPERTOIRE

馬の瞳 /21.06.25

2021.06.26

この1週間、反芻したのは、その瞬間、視野がぐわっ!と変化した感覚。腰がスッと伸びて、馬が歩を進める度伝わってくる振動と、あたたかさ。その振動には決して機械には真似できない生き物のリズムと意思があって、伝わってくるあたたかさには血が通っているいきもの独特の呼吸があった。
先日、はじめて「生き物」に乗った。

岐阜県の本巣市でホースセラピーや自然体験活動を提供していらっしゃるNPO法人心をつなぐホースセラピー ぐりん・はあとを訪れる機会をいただいた。
獣医をされている奥様とほんの数分お話しさせていただく機会があったのだが、その凛とした姿勢の良さとまんまるですごくよく光る瞳に魅了されてしまったのが5月。現在は生きづらさを抱えるこどもたちを中心に自然体験活動を提供していらっしゃるとのことで、その活動内容もとても興味深かった。

馬って、こんなにまつげが長いんだ! まつげの下の目玉はこんなにこんもり丸いんだ! こどもたちと一緒に、私たち大人もひとつひとつの発見に感動した。
なんとも優しげに見えるその瞳は、まつげに隠されて穏やかな光をたたえているように見えるけど、覗き込むと吸い込まれるように深くて、力強く光っていた。
明確な、意思と感情がある。なんて不思議な生き物だろう。

帰宅してからも馬のことで頭がいっぱいで、やっぱり馬と人間は歴史的にみても特別な関係だという話になり。
そういえば、もう10年くらい前に見た、馬がなかば主人公のミュージカルがあってね。仔馬の頃から大切にそだてた馬を戦争に取られてね、その馬を探して戦争に行った若者の話があるんだよ。その若者は戦争で目が見えなくなって、でも最後の最後にその馬に会えて、ふたりで故郷に帰るんだよ。っていう話をしたり。その話を聞いているときのこどもたちの表情や、その共有した時間はかかけがえのない時間だった。

そしてその舞台を私に教えてくれた先輩は数年前に病気で亡くなってしまったのだけど、馬に乗った翌日がその先輩の誕生日だった。
元気でいるかなぁ。いつか会えたら馬の話、したいなぁ。
と、久しぶりに何度もその作品のトレイラーを見たのだった。

「馬に乗る」という体験を通して感じたこと、話したこと、考えたこと、その余韻。
ああ、また会いたいなぁ、と心から思う。
自然に触れたり、動物に出会ったりすることは、ただそれだけのことにとどまらないんだな、としみじみ感じた。これって、すごいことだ。
NPO法人心をつなぐホースセラピー ぐりん・はあとの近藤さんご夫妻、素晴らしい体験と、時間をありがとうございました。

まだドリトル先生シリーズは読めないけど、私からドリトル先生の話を聞いて育った長男。
本物のドリトル先生に会えて、すごく嬉しそうでした。いつかトミーになれるように生き物のお世話をがんばりたまえ。